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飼い主なら知っておきたい「動物愛護法」現行の課題と2019年改正に向けて

コラム

犬に限らず、我々と暮らす様々な動物を守るために設けられた「動物愛護法」は、これまでに幾度となく改定されており、より近代的な内容へとアップデートされてきました。
しかし現在も様々な課題を残していると指摘されており、2019年度の改定に向けたアクションが行われていることも事実ですから、その詳しい内容について知っておきましょう。

「動物愛護法」現行の課題と2019年改正に向けて

殺処分に関する取り決めの改定が主軸になっている

現行の動物愛護法において、特に問題点や課題として取り上げられる機会が多いものが殺処分に関する条項で、動物愛護団体を中心に様々な方面から改善が求められています
具体的な改善案としては、犬猫の定点収集を実質的に禁止する条文を動物愛護法に加えることにより、簡単に動物を処分しにくい環境を作ることを目指すという内容です。

既に定点収集の実施を取り止めている自治体もありますが、全国で統一されている訳ではなく、いわゆる「引取車」による回収が動物の処分を気軽にしていると批判を浴びています。
これによって、動物を「モノ」と見る現在の風潮を打破し、より真摯に命に対して向き合う姿勢を持つことを促すという環境作りが最終的な目標です。
それに合わせて、飼育している動物の繁殖制限を促すための条文を設けることや、各地方自治体に対して、育成に関する地域活動支援を促すことも提言されています。

殺処分ゼロを目指すことが理想ではありますが、やむを得ず殺処分を行うという場合においては、殺処分の方法を見直すことも改善点の一つに挙げられています。
収容施設に関しても、設備の増強などを通じて環境を改善させることにより、収用動物の福祉を向上させ、少しでも快適な環境に身を置けるように働きかけています

加熱するペット産業に関する規制の強化(登録制度から許可制度へ)

現行の動物愛護法において抜け穴になっている課題であると頻繁に指摘されているのが、加熱するペット産業に関連する規制の不足です。
例えばペットショップやブリーダーの中には悪質な業者も存在しており、動物を適切に扱うことのできない業者は動物の健康を大きく損なわせる元凶にもなっています。
新しい動物愛護法では、販売店等における飼育環境設備に関する基準を明確に定めることや、担当者の立ち入りを義務化することにより、被害を未然に防ぐことを目指しています

この規制の対象となるのは、ペットショップ等の販売店のみならず、全国にある動物園や動物カフェなどの商業施設も含まれています
かねてから移動展示販売は動物の心身を衰弱させると指摘されていますが、2019年の法改正により、こういった販売形態そのものを禁止する条文の追加が求められているのです。
これにより、不必要な動物実験を行う業者や輸送業者に対しても縛りを付けることができるため、動物を取り巻く環境に大幅な改善が見られるのではないかと期待されています

動物の自由を更に認め、虐待への罰則は強化

現行法における基本原則からは、動物の自由を認める項目が不足しているという指摘も以前から頻繁に寄せられています。
それを受け、次回の改正時には、「恐怖や抑圧からの自由」そして「自然に行動できる自由」を動物愛護法の基本原則に追加しようという活動も活発化しています。
その動物本来の暮らしを守り、人間による押し付けを防止することこそが、動物福祉の根本的な改善に直結すると考えられているのです。

また、頻発する動物虐待に対しては、動物愛護法の罰則を強化することによって抑止力を高めようという意見が増えています。
現状は器物損壊として扱われる動物の殺傷行為ですが、器物損壊罪を上回る罰則を新しく設けることによって、虐待による死亡件数を減らそうという機運が高まっているのです。
さらに、適切な運動をさせなかったり、恐怖やストレスを与えたりといった間接的な虐待に関しても、より立件しやすい体制作りや行政による一時的な保護により動物を守ります。

これらの提案が実現するか否かは我々にかかっている

動物愛護法の改正は、本来は2018年度中に行われる予定でしたが、先延ばしとなり、2019年度中に改正される見込みになっています。
しかし仮に動物愛護法が改正されたとしても、ここで取り上げた改善策がどこまで取り入れられるかは不透明な状況です。
動物にとってより良い環境を整備するための改正が実現するか否かは、我々の手にかかっていると言っても過言ではなく、今からでも民意を示して働きかけることができます。

既にインターネット上では、動物愛護団体による署名活動が展開されており、動物愛護法の改善を望む署名軒数は10万人を突破するなど、一大ムーブメントにまでなっています。
これらの動物愛護法の改定に賛同するのであれば、署名活動に参加することや、党や地元議員に手紙やハガキを送ることなどの地道な行動が、改善を実現させるために大変有効です。

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